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<脱サラをする前に>
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ラーメン店を手っ取り早く開業する講座
第5章
◇◇◇ 具体的準備です ◇◇◇
<スケジュール>
ここでおさらいの意味を込めて店舗が決まってから開業までの全体のスケジュールを書きます。
1日目 内装業者の選定及び依頼 ・保健所に営業許可について申請する。
・電話・有線放送の申込手続き
2日目 工事開始 ・製麺業者・肉問屋・食品問屋の選定
・店頭に開店日を貼り出す
3日目 工事中 ・伝票・のれん・のぼり・花輪の注文
・メニュー表・ポップの作成
・知人などレセプション招待客への通知
↓ ↓
7日目 工事終了
8日目 麺を茹でる練習
餃子を焼く練習 ・各業者へ仕入れの注文
9日目 麺を茹でる練習
餃子を焼く練習 ・レセプションに備えて準備と仕込み
10日目 レセプション(お披露目) ・釣り銭の用意
11日目 最終チェック
12日目 オープン
大まかには、上記のような流れになります。これを目安にスケジュールを立てます。店舗が決まりましたら、すぐ
に内装業者を決めますが、工事に入るまでに保健所に営業許可について相談に行きます。その際にはあらかじ
め許可を得られるような設備や施設を確認し、店舗のレイアウトを決めておきましょう。それを下地にして保健所
の方のアドバイスを受けるのが効率的な進め方です。ネットなどを見ていますと、行政書士などが申請代行など
の名目で手数料を取るようですが、これは褒められた対応策ではありません。少し勉強したなら、自分で簡単に
できる行動ですので、是非とも自分で行い、無駄な出費を抑えましょう。
では、ここで実務として8日目の<麺の茹で方>と<餃子の焼き方>について具体的に書きます。<麺の茹で方>
ここで大切なのは茹でる姿が<さま>になっていることです。一目で素人が作っていると分かるのでは味も落ち
ます。振る舞い、姿、形だけでもプロに見えるようにします。動きにギコチなさがあってはいけません。それには実
際に茹で麺機にお湯を入れやってみることです。本物の麺を使用すると麺がもったいないので網にはタオルを使
うとよい練習になります。そして何度も何度も練習するのです。どんな人でも1日中練習すると必ず<さま>にな ります。
では、麺を入れるときの茹で方を書きます。
1. 網の中に麺をほぐしながら入れます。
2 .菜箸でほぐします。この時、上下に菜箸を動かすのがコツです。
3 .2分ほどしたら麺を指で切り5㎝位を口に含み、歯で噛みます。
4 .噛んだ時に感じる麺の硬さは自分の好みでよいのです。ただ硬さは一定でなければいけません。一般
的にはやや硬めが好まれるようです。その方がコシがあるように感じるからです。
5 .自分で丁度よいと判断したらよくお湯を切りどんぶりに移します。
<餃子の焼き方>
一般の人には餃子の焼き方が一番難しいようです。麺に比べ時間もかかりますのでお客様から「出てくるのが 遅い」とクレームも受けやすいのです。
1. 鍋に火を点け油をしきます。
2 .餃子を並べます。
3 .次にお水を入れますが、このタイミングと量がなかなか分かりづらいようです。タイミングとしては、鍋に
少量の水を入れたときすぐに蒸発するくらいの温度になった時に入れるのが最適です。そして餃子が 1/3くらい浸かる量を入れ蓋をします。
4 .水分がなくなり餃子の底に焦げ目がついたらできあがりです。
5 .できあがった餃子の上からもう一度油を少量たらし皿に移します。
次に10日目のレセプションのついて書きます。
レセプションは必要です。それは本番前のリハーサルをするためです。芸能界でもベテランでさえリハーサルを
します。ましてや経験のない素人がラーメン店を開業するのですから欠かすことはできません。
レセプションというと大げさですが、要するに友人知人を招待して練習をしようという趣旨です。ですからこの日
は気持ちの上では本番のつもりで行います。開店時に手伝いに来てくれる人にもこの日は参加してもらいます。
あくまでこの日は営業するにあたって不具合がないかどうかのチェックをする日です。例えば招待客の座る位
置によって「自分がどう見えるか」などをチェックして、自分が立つ位置や動きなどを検討します。こうした細かい
ことが実際にオープンしたときに役に立つのです。仮に不具合があったとしてもオープンまでに1日余裕があるの で修正できます。
その他に花輪の注文とありますが、これは宣伝のためにオープン時に必要なものです。どこかの業者が贈って
くれることもありますが念のため自分でも注文しておきます。
先程、「麺の茹で方」と「餃子の焼き方」を書きました。ではいよいよラーメンの作り方に入っていきたいと思いま
す。この章を読み終える頃、あなたはいっぱしのラーメン店主になることが出来るでしょう。しかしここに書いてあ
る方法は一例にすぎません。ラーメンの作り方は本当に様々なのです。営業しながらあなたの創意工夫で自分 の味を探し求めて下さい。
極端なことを言うならば、スープからチャーシューまでラーメンを作る際に必要な食材は業者・問屋に豊富に揃
っています。しかも、おいしいうえにさまざまな味を揃えています。ベースとなるスープまでもです。それらを組み合
わせてもおいしいラーメンを作ることは出来ます。そして組み合わせの割合を自分で調節することによって自分
の味を出すことも可能です。しかし、それでは原材料費が高くなりすぎ経営を圧迫します。やはりここで取り上げ
たものくらいは自分で作った方が間違いなく利益を確保できます。
[ベーススープの作り方]
スープは大きく分けて毛湯(マオタン)と白湯(パイタン)があります。毛湯とは一般に使われているスープで澄んだ
ままのスープであり、白湯とはスープが白くなるまで煮込んだスープです。本講座では一般的に使われている毛
湯を作ることにします。尚、この作業は使用する前日に行います。
(材料)
鳥ガラ4kg ゲンコツ(豚骨の大腿骨)1kg
ネギの青み、生姜250g、にんにく1/4かたまり
にんじん2本、昆布1枚、ラード(食品問屋にある)
(1) 鳥ガラ3kg、ゲンコツ2kgを入れたズン胴に骨が浸るまで水を入れ蓋をします。
(2) 火をつけ沸騰後中火で30分煮ます。
(3) ズン胴をコンロからおろし湯を捨てます。
(4) ズン胴に水を(1)と同量入れ、かき混ぜ棒(折れない太さの棒)でかき回し たあと水を捨てます。
(5) (4)の作業を2回繰り返します。
(6) 最後にゲンコツを取り出し、金ヅチで大まかに割りズン胴に戻します。
(7) ズン胴をコンロに乗せ、上辺から15㎝下まで水を入れます。
(8) 水の入ったズン胴に残りの材料(ラードを除く)を入れ、蓋をして火をつけます。
(9) 沸騰後中火で2時間煮込んで出来上がりです。
(10) 当日は沸騰させたあと弱火にしラードをおたま半分ほど入れます。
[チャーシューの作り方]
(材料)
豚モモ(脂が多少あったほうがよい)を約1kgずつに分けて仕入れます。
肉問屋にチャーシュー用にと言うと分けて持って来てくれます。
(チャーシュー用タレ)
[チャーシュー3~4㎏分]
毛湯3リットルに醤油0.3リットル、砂糖100g、塩30g
にんにく、しょうが、ネギを少々入れて約15分煮込む
(1) タコ糸を巻いた豚モモを当日使用しているベーススープ用のズン胴に入れます。
(2) 約1時間後に取り出し上記のタレにつけ、約40分とろ火で煮ます。
(3) 火を止めた後、約1時間つけます。
(4) タレから取り出し冷やします。
ここまでは前日の作業
(5) 当日、2mm~3mmの厚さに切ります。
冷蔵庫にしまう時はラップで密閉すること。
[ラーメンの作り方]
いよいよラーメンを作ります。
(1)茹で麺機に麺を入れます。
(2)どんぶりにラーメンタレを入れます。
(3)麺の茹で時間に合わせてどんぶりにベーススープを入れます。
(4)ズン胴の中のラードが溶けて液体になっていますのでその油を適量入れます。
(5)どんぶりに茹で上がった麺を入れ、箸できれいに形を整えます。
(6)メンマ、チャーシュー、海苔、その他を入れます。
おいしいラーメンができあがりました。これであなたもラーメン店の立派な店主です。…と、ラーメンの作り方を
紹介してきましたが、これは一例でしかありません。なぜなら、先ほども書きましたように、味はそれぞれの地方・
地域により全く好みが異なるからです。もっと厳密に言うなら性別、年齢など各人により味覚は多種多様です。こ
のような状況で最終的にラーメンの味を決めるのはあなたの好みです。ラーメンの作り方はいろいろなメディアで
多数紹介されています。そうしたたくさんの例を参考にして、是非あなた独自の味を開発してください。
それはともかく、このようにしてあなたのラーメン店生活が始まるのですが、心の準備を兼ねてラーメン店の一 日の生活を見てみましょう。
<1日の流れ>
9:00 店内清掃と仕込み
11:00 開店
12:00 ピークタイム
14:30 食事
15:30 翌日分の仕込みと発注
16:00 休憩と買い出し
17:00 夜の部の仕込み
23:00 ラストオーダー
23:30 閉店と後片づけ
大まかな<1日の流れ>を時間毎に区切って書きましたが、これはあくまで 「全体的な流れ」 です。当然です
が、その店の売上げによって<1日の流れ>は大きく変わってきます。
間違いなく、オープン当初は売れますので作業の始まり時間はもっと早いですし、食事の時間を取るのは難し
いでしょう。また、午後の休憩などあるはずもなく閉店後に翌日の仕込みをしなければならなくなります。もし、運 良く好立地に恵まれ 「売上げが好調」
のときは、オープン当初だけでなく、そうした1日が毎日続くことになりま す。
通常、ラーメン店においては混雑する時間帯は決まっています。当然、昼間は12時前からの時間帯が最も忙
しく14時~17時は閑散としています。夜の部は昼に比べ集中してお客様が来ることはなく、ダラダラ来るという
感じです。そして夜の部はビールを注文する方も多く客単価は上がります。また平日と日曜日ではピークタイム
の時間帯も異なりますし、出店した地域によっても様々です。ですからその地域の特徴を早く掴み効率的な営業 曜日、時間を見つけることが大切です。
最後に、大切なことを付け加えさせてください。効率的な営業曜日、時間を見つけたとしても1日の全体の流れ
は同じです。そして先ほども書きましたように、「売れる店」 は 「働く密度」 が高くなりますし、朝は早く夜は遅くま
で働くことになります。そうした1日の流れが毎日続くということを忘れないでください。
2ヶ月や3ヶ月ならば誰でもできます。しかし1年、2年、3年そしてそれ以上続くとなると 「誰でも」 というわけで
はないのです。それこそ本当に覚悟を決めた人でないと続きません。それも自分一人のことではありません。あ
なたの奥さんもなのです。ここに書いてある1日の流れはあくまで店に関してのことだけに過ぎません。あなたの
奥さんはこれ以外に家族の食事の支度や洗濯もしなければなりません。例えパートさんを雇い入れることができ
(人件費のことも考慮に入れて)、奥さんの負担が減ったとしてもパートさんたちは急に休んだり退職をすることが
あります。そのとき最後に頼りになるのはあなたの奥さんだけなのです。第1章の中で、開業するには 「あなたの 覚悟が必要」
と書きました。しかしそれだけでは正確ではありません。あなたの奥さんの覚悟も必要なのです。
私は開業における人員構成を夫婦二人とした理由は正にここにあります。どうか必ず奥さんの覚悟を確認してか ら開業に踏み切るようにして下さい。
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お客様はお金を払ってラーメンを食べるのですから素人が作っているよりも玄人が作っている方を好みます。
新米の医者よりベテランの医者に診て貰った方が安心するのと同じです。ラーメン店に於いて全くの味だけで新
米かベテランかを判断するのは不可能です。味はお客様によって好みが違いますし感じ方が違うからです。そこ
で大切になってくるのが<手際>です。調理をするときの動きがスムーズに流れるようになっているか、ドタバタ していないかを確認しましょう。
第5章 肝銘(肝に銘じていること)
≪≪ みてくれが大切だ!≫≫
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