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ラーメン店を手っ取り早く開業する講座

第6章

◇◇◇ 開業してからのこと ◇◇◇

<開業後>

 第五章の「オープンまでの準備」の中で「チラシの配布」が入っていなかったことに気づいた方もおられたと思い ます。一般的には、店のオープン時には初日に合わせて<開店セール>などと銘うってチラシを配布します。し かし、私はあえてオープン初日を外すことを提案します。これは私自身の経験からくるものです。前にも書きまし たが、私の研修時間はわずか15時間でした。このこと自体は私の本意ではありませんでしたが、結果的に「手っ 取り早く」に合致するものです。しかし、あまりにも売れ過ぎ混雑したため捌ききれなかったのです。要するに、練 習することが出来なかったのです。
 そこで私はオープンした1ヶ月後にチラシを打つことをお勧めします。その1ヶ月間を練習期間にするのです。 練習とは言ってもお客様からお金を頂くのですから中途半端は出来ません。真剣勝負です。だからこそ技術その 他が身に付くのです。もしオープン時にチラシを打ってしまうなら、「新規開店効果」で来店するお客様と「チラシ効 果」で来店するお客様が重なってしまい限界を越えてしまいます。そうした事態は、お客様に不快感を与えるだけ で自分の練習にもなりません。
 それを避けるためには、自分に自信がついた一ヶ月後にチラシを捲くのが最適なのです。

 チラシを捲いた後20日も過ぎると通常の売上げになります。もっと早いかもしれません。どちらにしても開店時 の忙しさはなくなります。ここからが勝負です。それには日々の積み重ねしかありません。そしてそれらは辛く厳し いものなのです。それでは私が見てきた5年以内に廃業した人たちの反省点を書きますのでくれぐれも皆さんは しないようにして下さい。

営業時間を守らない
 第5章でも触れましたが、最も多いのがこの事なのです。単純な事のようですが、開業時の緊張感が薄れてくる と開店時間が少しずつ遅くなるのです。そして閉店時間が早くなるのです。例えば「朝、急用が入ったから」とか 「昨晩遅くまで仕事をしていたから」など自分で理由を付けて遅くなりだしそれが常態化してしまうのです。挙げ句 の果てに多少開店時間を遅くしても売上げには大して影響がないと思い込むのです。これと同じことが閉店時間 にも起こり徐々に営業時間が減っていきます。特に、閉店時間間際にお客様が一人もいないとメニュー表に閉店 時間が明示されているにも拘わらず早めに閉店してしまいます。ひどい場合は営業時間終了間際に来店したお 客様に対して口では「いらっしゃいませ」と言いながら顔の表情では「迷惑である」と言っています。これは時間的 には「開店中」であっても心の中ではもう「閉店」になっているからです。もう注意してくれる上司はいないのです。 全てあなたの決定次第なのです。こんな厳しいことはありません。「自由になればなるほど自分の能力に縛られ る」という言葉があります。この場合は「能力」
を「精神力」に置き換えることが出来ると思います。人間は頭がいいのでいろんな言い訳を考えることが出来ま す。それに負けないだけの精神力を持ち続けて下さい。


すぐ座る
 らーめん店は忙しい時間が決まっていますので店内にお客様がいない時間帯もあります。そうすると「お客様が いないから」と座ってしまうのです。しかし「逆」なのです。あなたが「座っているから」お客様が来ないのです。初め てのお客様はどんな店なのだろうと不安を持っています。ですから店の中をそれとなく素通りして店内の様子を窺 ってから入るか止めるかを決定することもあります。そのとき店主が座っていたならやはり入りづらいのです。店 主が座っている姿は決してお客様を歓迎する雰囲気ではないことを認識していてください。常連の方であってもお 客様から見るとその姿は悲しいものです。
 もう一つの理由として、お客様が来店したあと「すぐに自分自身のエンジンが暖まらない」ことが上げられます。 エンジンが暖まっていない状態で急に動こうとするとエンジンの調子は悪くなります。ややもするとエンジンが止ま ってしまいかねません。エンジンが止まった状態の店主がいる店にはお客様は二度と行かないでしょう。店主は 営業時間中は「停車」や「ニュートラル」の状態であっても決してエンジンを切ってはいけないのです。


余裕を持ちすぎる▼ 
 初めのうちは緊張感を持ってやっていた作業、言葉遣いも慣れてくるに従い余裕がでてきます。しかし余裕を持 つことは緊張感を失うことではありません。自分では余裕が出てきたと思える作業でもお客様には雑に見えるこ とがあります。例えば、開業当初には集中して調理作業を行っていたものが余裕が出来たために取引業者と笑 い話をしながら作るようになったりします。接客においては気心が知れてきたとしてお客様に対して馴れ馴れしく し過ぎたりします。良い意味で余裕を持つことは大切ですが緊張感を失ってはいけません。緊張感を失うことは 手抜きにもつながります。手抜きとは基本を失うことです。基本を忘れた仕事はいつか壊れるしかないのです。 極まれに「手抜き」を「効率的」という言葉に置き換える人がいます。その判断の基準は基本を忘れていないかど うかです。人間はどうしても楽な方へ流れて行き易いものです。その気持ちを抑えつつ、いつも緊張感を失わな いようにしましょう。


店内が汚れてくる
 店内に長い間いるとその汚れに鈍感になるものです。しかし食事をする時しか来ないお客様はその汚さが目に 付くものです。座った席の壁際にホコリが積もっていたならばおいしいラーメンもまずくなります。特に気をつけた いのがトイレです。トイレはその店の清潔さのバロメーターです。念入りにきれいにしましょう。清潔さも味のひと つです。清潔さをお客様と同じ視線で見ることが大切です。清掃は続けていないと逆に時間を取られるものです。 営業時間終了後に、もしくは営業前に必ず清掃をしましょう。持続するためには自分で時間を決めることが秘訣 です。


仕事とプライベートの区別を付けない
 ラーメン店を営んでいると1日のうち店内にいる時間が最も多くなります。多くなるというより家で寝ている以外 はいつも店にいるという状態になります。またそうでなければ営業を続けることはできないでしょう。そうなりますと ついついプライベートと仕事を混同しがちになります。しかしお店はあくまで仕事場です。仕事場にプライベートを 持ち込んではいけません。例えば営業時間中に個人的な友人をお店に呼び話し込んだりすることは一般のお客 様に対して大きなマイナスイメージを与えます。お客様はあなたの家庭を訪問したのではなく「飲食というサービ ス」を求めにきたのですから。このようなことも先程書きました<余裕を持ちすぎる>結果といえるでしょう。
 そうは言っても1日の殆どを店内で過ごす中でプライベートなことをしなければならないときもあります。そのた めに午後に休憩時間を30分でいいですから設けるようにしたほうがよいでしょう。店内にお客様からの死角を作 ることの必要性もこのことにつながってきます。いずれにしても店舗内はあくまで仕事場でありお客様のためのも のであることを忘れないで下さい。

 以上5つの注意点を書きましたが、どれも当たり前のことばかりと感じた方もいるでしょう。しかし当たり前のこ とを続けることが難しいのです。しかもこれらのことは最低条件です。これらのことを守ったからといって成功する 保証にはなりません。これプラスαが必要です。そしてそのαはあなたにしか見つかりません。それが経営者な のです。日々努力、勉強これしかありません。そしてお店を営業していると本当に様々な問題にぶつかります。そ れを一つ一つクリアして営業年数を伸ばしていくのです。

♪♪♪コラムそうなんです♪♪♪

<団体客>
 団体客が来店すると売上げ的には嬉しいものです。しかし対応には難しいものがあります。日本人は団体にな ると周りが見えなくなる性向がありますので特に注意が必要です。
 団体客が来たときはできるだけ早くその親分というと表現が悪いですがリーダー、要するに仕切り役を見つける ことが大切です。多くの場合、ハイテンションな団体ほど注文するときは「皆が一斉」にいろいろな注文や要望を 言うものです。すると注文間違いなども起こる可能性が高くなります。そういうことを防ぐためにそれぞれの注文 が終わったあとに必ずその仕切役の方に確認を取るのです。場合によっては仕切り役の方が全員の注文を取っ てくれることもあります。そうなりますとこちらも手間を省くことができて助かります。団体客が来たら「仕切り役を 探せ」が基本です。
 その他に、団体客が来店したときの問題点として団体客以外のお客様への対応があります。偶然にも団体客 と同席した団体客以外のお客様は肩身が狭くなります。人によっては不愉快に感じる方もいます。ですからそう いうお客様には充分に配慮しなければなりません。できたら小声で「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」と話し かけることも必要です。こういった一言がお客様を当店のファンにすることにもつながります。小規模のラーメン 店の場合、長い目で見ると団体客より個人客が中心になります。団体客はその時点では売上げに貢献しますが あくまで一時的なものです。それに比べ個人客はリピーターとして来店することが多いのです。個人客を大切に 接遇することが営業を長続きさせる秘訣です。確かに、団体客は嬉しいのですがマイナス面もあることを忘れな いで下さい。

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 店を始めると一国一城の主です。誰にも文句を言われることなく全て自分の自由です。しかしそこに落とし穴が あります。それは損益計算書(P/L表)という穴です。このP/L表が黒字であれば穴は塞がっていますが、赤字と なるとその穴はポッカリと口を開けて待っています。誰もその穴を避けることはできないのです。黒字にするか赤 字にするか、それはあなたが自分との戦いに勝つか負けるかです。

第6章  肝銘肝銘(肝に銘じていること)

≪≪脱サラは自分との戦いだ!≫≫

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