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ラーメン店を手っ取り早く開業する講座

第3章

◇◇◇ 想像力を働かせよう ◇◇◇

<内装業者>

 商いをする上で最も大切なことは「だれに」売るかです。必ずターゲットを決めることです。ターゲットとは「客層」 です。先ず自分の店の「客層」を決めそれに合わせて内装を考えます。ただ漠然と「お客様」と思っていては全て において中途半端になってしまいます。
 例えば子ども連れの家族を客層の中心に据えるならば店内が明るく感じられるような壁紙にしますし、また子 供が喜びそうな絵本などを用意することも必要です。このこと自体は内装とは関係がないようですが絵本を置く場 所を確保することはレイアウトを考えるときに留意することにつながります。因みに色に対する人の感じ方や色の コントラストによる店内の雰囲気の出し方などは内装業者の方は資格を持っていることも多く詳しいはずですので 教えて貰えばよいでしょう。反対の見方をするなら、「色の資格」も持っていない業者に依頼することは避けるべき です。そのような業者は店舗の内装について知識がなく慣れていない可能性が高いからです。
 このようにまず自分の店の「客層」を決めそれからレイアウトを考えます。このとき自分たちが働きやすく動きや すいレイアウトにすることが重要です。夫婦二人で営業するのですから出来るだけ少ない移動、動作で注文を受 け、ラーメンを作り、お客様にお出しして料金を頂く。このことが売上げや利益に直接結びついてきます。
 例えばこの一連の動きが3mで済む場合と9mかかる場合とでは売上げに与える影響は大きなものがあり、と ても重要です。実際に厨房内に立ち、ホールを歩きシュミレーションをしてみましょう。そして調理機器の置く場所 やテーブルの位置、向きを変えます。それらに合わせて必要最低限の工事を業者に依頼することです。


レイアウトを考える際に注意すべき点を書きます。

〇会計レジと冷水機は出入り口付近にします。
 レジと冷水機が近いとお客様の精算を済ませた後、あまり動くことなくお冷やを持っていくことができます。また 冷水機が入口にあるとお客様に目に付き易くお客様が自分でお冷やをお代わりしやすくなります。仮に、冷水機 の場所が分かりにくいと「お冷やのお代わり」をお客様に依頼されることもあり、店側の負担が増えることになりま す。
 お客様にとっても自分で好きなだけ「お代わり」をすることができ両者にとって都合がよいのです。またこの場所 は店側の人が待機する場所にもなります。

〇トイレについて
 トイレの位置や配置を変えることは資金的に難しいのですが、それでもトイレのドアがお客様の座った席から目 立たないようにします。具体的に言うならばトイレを利用後のお客様がトイレのドアを開けて出てきたときに他の お客様の目線と合わないようにすることです。トイレのドアがそのような場所や向きにならないようにします。もし、 そのようになっている居抜きであればホールの席の向きを変えるか、もしくはトイレのドアの開き側(右開きか左 開き)を変えることです。それも不可能なときはドアの前についたてなど遮断するものをおいた方がよいでしょう。

〇カウンターの下に棚を作ります。
 カウンターに座るお客様が困るのが手荷物の置き場です。棚がない場合置き場所がなく膝の上に乗せていた り図々しい人ですと隣の席に荷物をおいて平然としています。ちょっとしたことですがカウンターの下の棚はお客 様に喜ばれます。
 カウンター下の棚の代わりに他の場所に荷物置き場を設けている店を見かけたことがありますが、これは危険 です。もし盗難があった場合、店の責任を追及される可能性もあるからです。荷物置き場はお客様の手の届く範 囲、目の届く範囲が原則です。

〇コンロは火力の強いもの、使用している時間の長いものをできるだけ換気扇の近くへ置きます。
 ラーメン店は火を使いますので温度には特に注意を払わなければいけません。火力の強いコンロが換気扇か ら離れている場合換気扇が意味をなさなくなります。私の場合がそうでした。火力の強いコンロの熱を換気扇が 全く吸引しなかったのです。そのため火力の強いコンロの上に新たに送風機を設置する必要に迫られ追加で工 事をするはめになりました。

〇冷蔵庫は火を使う場所から遠い位置に配置します。

〇冷蔵庫が発する熱が籠もらないよう熱の逃げ道に配慮した場所に配置します。
 ガスコンロなど強力な熱を発する場所の近くに冷蔵庫がありますと、庫内に熱い空気が入り庫内の温度が上が るため冷蔵庫に余分な負担がかかります。また冷蔵庫の凝縮機から発せられる熱が籠もらないようにすることも冷蔵庫を長持ち させるためには大切です。
 一般の家庭でも冷蔵庫は夏場と冬場では冷蔵庫の冷え具合が違いますが、これは冷蔵庫の能力が周りの温 度に影響を受けるからです。もちろん、周りの温度が高いときは冷蔵庫は目一杯動力を使うことになります。冷 蔵庫はそれ自身が熱い空気を発しますので、その熱をほかの場所に逃がさず篭らせてしまいますと、冷蔵庫の 周りの温度が高くなってしまい、冷蔵庫に悪影響を与えることになります。そうしたことが如いては故障頻度や耐 用年数に大きな差となって出てきます。何故冷蔵庫にこだわるかと言えば庫内に入っている食品に影響を与える こともありますが、それよりも店全体の電気代に占める冷蔵庫の割合が一番大きいからです。こうしたこともラン ニングコストの一つです。

 大まかなレイアウトが決まったなら備品と店舗の内・外装の手直しを考えなければなりません。イスやテーブル などお客様に直接目の触れるものはよく確認し、あまりに汚れ・破損などが激しいときは修理をするなり新品と取 り替えます。
 例えばイスのカバーなどは破損していても張り替えるだけで新品同様に蘇ります。新品を買うより安く済みま す。こういった修理も専門の業者で取り扱ってますし、工務店でも対応してくれます。
 次に内・外装関係の手直しですが、ドア・ホールの壁・床クロス・厨房内の設備などです。ここでもやはり手直し をする順位をつけます。必ず直さなければならないのは「看板」です。そこでどの業者にするかが問題です。普通 は店舗工事一式を工務店に依頼すると、工務店がそれぞれの業者(壁・電気・水道・看板など)に手配します。で すからある意味工務店に依頼することは一度で手間が省けますが工務店が中間に入る分価格は若干高くなりま す。できるだけ看板は看板の業者に直接依頼した方がよいかもしれません。「かもしれません」と書いたのは理 由があります。工務店によっては手配下の業者に対する関係上仕事を発注せざるを得ず、価格を除外視して仕 事を受けることもあるからです。結局のところ3~4ヶ所のそれぞれの業者に見積もりを出して貰い、工務店に一 括するのか、それぞれの業者に依頼するのかを含めて発注業者を選択するのがベストです。その際は小さい工 事も喜んで請けてくれる業者に見積もりをお願いすることが大切です。また業者を選定する際飲食業の工事を得 意としているかも確認した方がよいでしょう。
 飲食業の店舗の場合保健所の検査もありますが消防署の検査も定期的にあります。この検査は火を使っても 危険がないような安全な環境・設備になっているかを調べるものです。知りあいの飲食店は開業後に消防署より 注意を受け、吸気設備が悪いからと改修工事をしなければなりませんでした。このような無駄を防ぐためにも業 者を選ぶとき飲食業の経験の有無を確認した方がよいのです。意外と保健衛生や消防の法律を知らないで工事 をする業者は多いものなのです。

 レイアウトについて次のことも忘れないで下さい。それは食材などのストック場所を確保することです。狭い店内 ではついつい客席を増やすことばかりに気を取られ、裏の作業をする場所を忘れがちです。そしてこういった裏 の作業はお客様に見えてはいけません。お客様には表舞台しか見せてはいけないのです。
 また、お客様から見えない死角を作ることは次のような意味もあります。それはお客様が店内にある時間滞在 する業種の店舗(イートイン)では店側の人間は常時お客様に見られています。つまり心を落ち着ける時がないの です。この点が持ち帰り(テイクアウト)の業種の店舗と大きく違うところです。そのような時どこかに気を抜ける場 所があると心のバランスを保つことが出来ます。狭くても良いのです。店内にお客様から見えない死角を作りまし ょう。
 その他に機能的な意味でレイアウトについて忘れがちなのが厨房内とホールの受け渡しの場所の確保です。
 例えば主人が厨房内にいて奥さんがホールにいる場合、主人から奥さんへ調理品を渡す際に、この空間がな いとお客様の頭越しに渡すことになったりします。お客様によっては気を使って左右どちらかに身体を寄せて下さ る方もいますが決して気分の良いものではありません。またこの空間は食べ終わった食器を下げるのにも利用 でき効率的な動きが出来ます。
 自動車のハンドルには必ず「遊び」の部分があります。それは「遊び」がなくては安全なハンドル捌きができない からです。同じように店の作りにおいても「遊び」は必要です。人間はロボットではありませんから、余裕のある空 間は欠かせません。

 今、空間の確保について書きましたが店内の雰囲気作りに関連して有線放送について書きます。
 有線放送は必要です。機材はスピーカーを天井近くの壁に掛けるだけなので場所は取りません。本体はビデオ デッキぐらいの大きさですのでどこにでも置くことができます。私が営業していたとき落雷の影響で有線放送が聞 こえなくなったことがありました。この時に実感したのですが店内の雰囲気が暗くなるのです。それこそシーンとし た店内は異様でした。お客様も落ち着かない様子でした。私はシーンとしたほうがゆったりした雰囲気が出るの かと思っていましたが全く逆でした。<音>というものの効用を再認識した次第です。
 中には、有線放送の代わりにテレビを置いたらどうか、と考えた方もいらっしゃるでしょう。そういう店も確かに あります。しかし、テレビを置くとお客様が回転しないのです。これは決してお客様が「でんぐりがえし」をすること ではありません。そうです。お客様が入れ替わらないのです。テレビを見ながら長居をするのです。ですからテレ ビは置くべきではありません。あと1つ、新聞・雑誌を置く場所の確保も付け加えておきます。

 今までは店内について書いてきました。それと同じくらい店頭も大切です。いや、それ以上かもしれません。お 客様は最初に店頭を見て入店するかどうかを決めるのですから。
 まず、店頭にはメニュー表(価格、開・閉店時間の明示されているもの)を必ず出します。そして「店内を見えるよ うにする」ことです。外から店内が見えないと初めてのお客様はとても入りづらいものです。
 「店内を見えるようにする」ことはとても大切ですが、その際に気をつけなければならないことがあります。それ は「店内が見える」ということは店内のお客様が外から「丸見え」の状態になる、ということです。このような状態で は店内のお客様は落ち着きません。ではどうするかというと、店外で立ち止まる人や通行人と店内のお客様の視 線が合わないようにすることです。その1つの方法は、お客様の視線の高さの位置にだけ目隠しをすることです。 こうすることによって店内のお客様はゆっくりくつろげます。
 また、目隠しをすることは店頭で迷っている方を安心させる効果もあります。「店に入ろうか」と迷っているお客 様は店頭で店の概観やメニュー表などを見ますが、そのときに「店内から見られている」と感ずるとゆっくりと落ち 着いて立ち止まれないものです。このように目隠しは店内、店頭の両方のお客様に意味があります。


♪♪♪コラムそうなんです♪♪♪

<換気扇と温度>
 ラーメン店は火を使いますので当然換気扇を回します。この換気扇が曲者なのです。換気扇はその羽根の大 きさにより排気能力に差があります。私が当初使っていたものは羽根が小さく排気力が弱いものでした。そのた めに厨房内の熱を店外に出し切ることができず、その熱がお客様のいるホールに流れてしまうのです。そのため 夏場になると大変困りました。クーラーを最強にしてもホールがなかなか涼しくならなかったのです。つまり厨房内 の熱にクーラーが負けていました。
 そこで翌年排気力の強い羽根の大きい換気扇に交換しました。すると今度は逆に冬場に寒いのです。それま では排気力が弱かったので厨房内の熱がホールに流れ雪でも降らない限り寒さを痛感することはありませんでし た。しかし、排気力を強力にしたために厨房内の熱を店外に出し切り、その上吸気口や窓の隙間から外の寒気 が入り込んできたのでした。このような状態でしたので寒さの厳しい日は換気扇を止めたりしていました。厨房内 の熱を店内全体に広げストーブ代わりにしていたのです。しかし換気扇を回すと寒くなりすぎ、止めると暑くなりす ぎ快適な温度にすることはできませんでした。
 そこで知りあいの電気屋さんにお願いして電圧の変動により換気扇の強弱を変えられる「特別な機器」を作って 貰いました。この機械によりやっと店内を快適にすることができたのです。私は「特別な機器」を作って貰いました が、あとでわかったことですが、電気専門店などに行くと売っているそうです。皆さんも是非利用なさって下さい。

♪♪♪コラムそうなんです♪♪♪

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 ランニングコストとはお店を運営しているときに生じる経費です。一般的には電気代や水道代が思いつきます が、パートさんという人件費も含まれます。3人で営業している店をお客様に不快感を与えることなく2人で営業で きるようにすればこれは大幅なコストダウンです。その基本となるのがレイアウトです。そしてその考えを発展させ て、自店独自のシステムまで考えつくならば申し分ありません。

第3章  肝銘(肝に銘じていること)

≪≪コストダウンはレイアウトから!≫≫

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