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脱サラ・独立・フランチャイズ考察

第6章

コンビニエンス業界
 昨年(平成21年)の衆議院選挙でコンビニ業界にとって今後の変化を思わせる出来事がありました。

 以前より、加盟店の不利な状況を世の中に訴えていた加盟店主の方は少ないながらもいました。そうした方の 中には裁判にまで持ちこんで戦っている方もおり社会に訴える効果は上げていたように思います。しかし、やはり 裁判で勝利することはなく弁護士などをそろえ圧倒的に強い立場である本部に太刀打ちすることはできませんで した。

 このような加盟店の不利な状況を是正すべく声を上げている加盟店主の集まりもあります。昨年の選挙前、そ の集会に民主党の小沢氏が出席したのです。これは実に画期的なことで今後の加盟店側にとって不公平な状況 が改善される可能性を秘めています。

 小沢氏がそうした集まりに出席したのは、あくまで選挙対策に過ぎませんが、選挙対策用であっても小沢氏が 関心を抱いたのにはきっかけがあります。大手コンビニにおけるお弁当の販売法について本部と加盟店の間で 起きた対立を大手マスコミが取り上げたことです。

 販売法の対立とは、「期限切れ間近になった弁当の割引販売」 と 「期限切れ弁当を廃棄する際の負担割合」 に関してでした。詳細は省きますが、つまるところ 「廃棄は本部の強制でありながら廃棄分の金額を加盟店側だ けが負担する」 ことへの加盟店主たちの不満でした。この問題も裁判があり、そして初めて 「加盟店側が勝利し た」 ことをマスコミが大きく報じました。この判決以降、本部は契約内容を見直し加盟店側に配慮する方針へ転 換しています。これは加盟店の不利な状況を改善する一歩となると思いますが、それだけ本部にとっては苦しい 経営を迫られることを意味します。今後、こうした流れが加速するならコンビニ業界も様変わりするでしょう。

 コンビニ加盟店には、FC本部によって違いはありますが、大まかにいって2つのパターンがあります。それは 「物件を持っている」 または「酒の免許を持っている」 などといったFC本部が歓迎するインフラを持っている人 が加盟店になるパターンと、そうしたインフラを全く持っていない会社員などが保証金を積んで加盟店になるパタ ーンです。この違いはとても大きく、私が批判しているのは後者のパターンに対してです。実際、本部の対応もパ ターンにより変えているようで、エリアマネージャーのなどの姿勢まで異なっています。

 俗ないい方をするなら、前者に対しては 「ペコペコ」 して後者に対しては 「横柄」 な姿勢で接しているように見 えます。これまでに本部とトラブルになったり裁判になったりしている例は主に後者の加盟店主の方々です。前者 と後者でどれほどの違いがあるかわかろうというものです。

 私が2度目に加盟した店舗は、当初コンビニの駐車場に立地していました。本部倒産後に移転しましたが、そ の立地環境は優れていました。その意味で前記しました 「息子さんの立地条件の目利きのすばらしさ」 を賞賛し たわけです。

 それはさておき、そのコンビニ加盟店主は地元の名士の一族のようでその優良な場所にコンクリートビルを持 ちその1階で営業していました。まさにコンビニに加盟する理想的な形です。その店舗には本部の担当者が定期 的に訪問していましたが、その二人が話しているようすを遠めに見ていますとその力関係は歴然としていました。 もちろん加盟店主の側が完全に上です。このような対応を後者のパターンの加盟店に対してもするならFCも価 値があるように思います。現実的に考えるなら、今の時代に小規模な小売店を営もうとするならコンビニ以外に 方法はありません。

 どんな業種においてもセールスする側は 「よいところは強調して悪いところはあまり触れたがらない」 もので す。コンビニ本部が加盟店を募集するということは、見方を変えるなら、店舗の運営権を加盟店主に売ることと同 じです。

 例えばテレビを買う場合、仮に自分が欲しい機能がついていない機種を 「間違って」 買い、後悔することがあっ てもその後の生活に大きな影響を及ぼすことはありません。良心的な販売店なら返品を受けつけてくれることも ありますし、最悪の場合でも数万円の損失を覚悟で買い替えることも可能です。また自己責任とあきらめて我慢 して使用することもできます。しかし、店舗の運営権を買うときはそれでは済みません。

 「間違い」 がその後の収入に直結しますし、それは即ち生活にも影響を与えることです。しかも、買い替えがで きないですし返品する際に多額の費用さえ支払わなければなりません。「コンビニ店舗を運営する」 という商品を 買うときには詳細な説明を注意深く聞き、理解することが必須です。

 私は今、「テレビを買う」 例を上げましたが、コンビニFCの問題点はここにあります。つまり、FC本部は応募し てくる加盟店主希望者を 「お客様」 と捉えているのか、それとも店舗を運営する 「固定費のかからない従業員」 と捉えているのか、もしくは 「取引先(下請け)」 と捉えているのか、です。

 「お客様」 と捉えるなら、加盟店主から 「契約の解約」 を求められたなら無条件に応じなければなりません。と きには 「予想売上げ」 が間違っていたとして、現在の状況とは反対に本部が加盟店主側に違約金を支払う必要 もあるでしょう。反対に、「従業員」 と捉えるなら、労働条件について、または労働環境についてもっと適切な対応 をする義務が求められます。そして 「取引先(下請け)」 であるなら、その厳しい関係も正確に丁寧に説明すること が必要です。どこの世界でも 「取引先(下請け)」 は親会社から厳しい要求を突きつけられ、要求に応えられない なら取引を切られるのが普通です。そうした厳しさも隠さず公開する必要があります。

 現在の加盟店主の立場はこれらのどこにも属さない中途半端な位置にいるように見えます。本部にとって 「都 合のよいところ」 だけをツマミ食いした関係です。つまり本部の 「いいとこ取り」 となっています。このようないび つな関係がこれまで起きたトラブルの原因です。コンビニ本部が今後も発展を望むならこうした関係を見直す必 要があるのではないでしょうか。

 仮に、本部が現在の加盟店との関係がベストであると考えるなら、その長所短所を包み隠さず正確に加盟店 主応募者に伝えることです。そうして初めて加盟店主応募者は正しい判断ができます。


 昨年の 「弁当廃棄判決」 以降、コンビニ本部の方針が変わる流れが出てきそうですが、まだ確定したわけで はありません。あまりの加盟店への配慮は本部の死活問題につながりますから容易に受け入れられるはずがな いからです。しかし、一昔よりも本部の加盟店への対応が改善されつつあるのは事実です。私が望むのは、本部 と加盟店が対等な立場で向き合うことができる関係です。仮に、廃業に追い込まれることがあったとしても最初か らそのリスクを理解していたなら納得できるのではないでしょうか。コンビニ業界が健全なFCになることを節に願 っています。


 さて、長々と綴ってきました 「脱サラ」 「独立」 「フランチャイズチェーン」 に対する私の考察はいかがでしたでし ょうか。私は、基本的には 「脱サラ」 「独立」を支持している人間です。ですが、なんども書きましたが、「脱サラ」 「独立」 は高いリスクを負うことです。にも関わらず、このサイトのトップページ 「ごあいさつ」 に書きましたよう に、「脱サラ」 「独立」 に関する情報は量的にみますとその “リスクを感じさせない” 情報が圧倒的に多いのが現 状です。そうした中、読者の皆さんが、マスコミの情報や広告に流されることなく踊らされることなく冷静な判断を なさることを祈っています。

第6章終わり  最後までお読みくださいましてありがとうございました。

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