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脱サラ・独立・フランチャイズ考察

第2章

パターンによる困難度

 第1章の表を再掲します。
法人 個人
未経験 A
1%
D
5%
既経験 B
30%
C
50%~60%

法人 個人
未経験 A (1%) D (5%)
既経験 B (30%) C (50~60%)


B 経験のある仕事ですが、スポーツ界における選手と監督の違いを思い知らされます。30%
C 自分でやらなければならない業務の多さに驚かされます。50~60%
D 2番目にリスクが高く5%

(B)の難しさはなんと言っても 「組織の動かし方」 です。「選手と監督の違い」 と書きましたが、自分で直接動くの ではなく他人に動いてもらう難しさです。プロ野球やJリーグで、いくら監督が素晴らしい戦略・戦術を持っていよう とも実際に動く選手たちが監督の戦略・戦術に同意し理解し行動できなければ試合に勝利することはできませ ん。「脱サラ」 で (B) を選択するということは監督になることです。人間の集まりである組織を動かすことです。

 会社員時代に部下を数人持ち、課や部のトップを務めた経験のある人もいるでしょう。しかし、課長や部長はあ くまで中間管理職です。最終責任を負う必要はありません。トップとは、後ろには誰も控えていない状況のことで す。後ろにあるのは断崖絶壁の崖でしかありません。そのような苦しく辛い場所に立つのがトップです。この緊張 感たるや並大抵ではなくそれまでの想像を越えています。その緊張感を受けて立つ覚悟が必要です。

 会社を立ち上げるには社員を採用することになりますが、能力が高い人ばかりを採用できるとは限りません。 先ほどの例に挙げましたプロ野球やJリーグなどに入団してくる選手は競争を勝ち抜いてきた選手ばかりですか ら能力が高い選手が揃っています。しかし、大企業ならいざ知らず立ち上げたばかりの小さな会社に能力の優れ た人が応募してくる可能性は低いと言わざるを得ません。立ち上げたばかりの会社は普通の能力の人が集まる 場所と考えるべきです。そうした社員の能力を最大限に引き出し働いてもらわなくてはなりません。中には反発す る社員もいるでしょう。そうした社員でさえ忍耐強く接し働いてもらわなければなりません。もし退職者が出たなら その補充としての社員を確保するのも苦労するからです。仮に会社が軌道に乗り業容が大きくなったときも組合 で苦労することもあります。いずれにしても組織のトップは我慢強さが最も求められます。

 昔から言われている格言。「名選手、名監督にあらず」。この言葉を常に意識して監督としての技量を磨くこと が必要です。

 (C) は (B) に比べ成功する確率が高いですが、これは個人形態という規模の小ささによります。規模が小さい ことはそれだけリスクが低いことでもあります。例えば、(B) に比べ大きな設備投資が必要ではありませんし、多 数の従業員を雇うわけではありませんから人員確保で苦労することもありません。仕事自体も慣れ親しんだ業務 ですので問題なくこなすことができます。しかし、(B) に比べて魅力が劣るのは成功したときの見返りに限界があ ることです。

 (C) で多いケースは、第1章で紹介しました金融関係での独立の形です。会社員時代に一個人として顧客を確 保しているのですから、それらの顧客をあてにすることができ独立後もある程度収入が安定します。しかし、その 収入が永久ではないことは先ほど書きましたとおりです。

 また (C) のケースとしてマスコミなどで見かけるのは、会社員時代に業界で知名度を上げ独立するケースで す。業界で認められた実力ですのでコンサルタントとして活動することができます。マスコミで有名でなくとも業界 で有名であれば独立することも可能です。できるだけリスクを減らし有利な脱サラを目指すなら、会社員時代に 実力を蓄えておくことは大切です。

 (C) のケースで最も戸惑うのは雑用の多さではないでしょうか。仕事の業務自体は今までと変わらないのです から戸惑うことはありませんが、確定申告など税金関連もそうですし、取引上のお金の振込みや入金の確認など 会社員時代は専門部署が行っていた業務も全部自分で行わなければなりません。また、ちょっとした備品など会 社では倉庫に行って間に合っていた消耗品も自分で買いに行かなければなりません。こうようなちょっとした雑務 に時間が取られます。独立するということは1日の時間が足りなくなることでもあります。些細なことですが、こうし た雑務も脱サラ後は一仕事となってしまいます。

 最後に (D) ですが、当サイトに最も関係する分類です。私もそうでしたが、脱サラの現状をみますと、最も多い ケースです。その中でさらに最も多いケースが他業種に従事している会社員が飲食業で脱サラするケースです。 理由は、他の業種に比べて小資金で開業できますし、飲食業が身近に感じられなんとくなく成功しそうな印象が あるからです。しかし、成功率は (A) の次に低くとても難しいのが現実です。詳しくはテキストをご覧ください。素 人が飲食業で脱サラして苦悩する姿がわかります。そして不様な結末までも…。

 意外に知られていませんが、(D)のケースでは 「接客」 で躓く人がたまにいます。特に、前職が営業職やサー ビス業の経験がない人はとても辛く感じるようです。それが高じてノイローゼになることもあります。人と接するの が苦手な人は慎重に考えましょう。

 これまで脱サラをする際のそれぞれのケースを分類してきましたが、どの分類においても成功率が100%どこ ろか70%以上のケースはありません。裏を返せばリスクが高いことを示しています。そのリスクの高さが、果たし て脱サラに見合うものなのか考えてみることは必要です。そこで次章では「会社員」と分類上最も多い (D) のケ ースで「脱サラした人」の社会保険制度の違いについて考えてみます。

第2章終わり

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