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ラーメン店を手っ取り早く開業する講座

第7章

<よくあるクレーム>
 ラーメン店を営んでいる限りお客様からのクレームは避けられません。そしてその対応を間違えると店の浮沈 に関わります。それくらいクレーム処理は重要です。しかし、クレームの内容はある程度決まっていますので事前 に対応を決めておくと大きくならずに処理することができます。そこでよくあるクレームについてそれぞれの対応 を書きます。

 クレーム対応の基本はお客様の話をよく聞くことです。そしてお客様の話を否定しないことです。仮に、お客様 の主張が「間違い」「勘違い」であってもお客様の話を否定するのではなく肯定しながらこちらの主張を述べること です。クレームに対してお客様の話を否定してしまうと「お客様が感情的になる」ことがあります。クレーム処理で 絶対やってはいけないことはお客様を「感情的にさせること」、そして「自分が感情的になること」です。そうならな いために話し方はゆったりとし、言い訳めいた言葉は避けることです。折り合い悪く物別れに終わり自分の主張 が勝ったとしてもそれは自分の利益にはならないのです。よくある例として物別れに終わったお客様は保健所に 通報します。このようなお客様は自分の怒りのうっぷん晴らしをしたいだけなのです。うっぷん晴らしの対象にな ってしまうと損をするのは自分です。クレーム処理は<その時その場>で終息するよう心がけましょう。


 それではこれよりクレーム対応について具体的に書きますが、クレームは受けないにこしたことはありません。 日頃から仕事を丁寧に行いクレームを受けないようにするのが一番です。

クレーム:「ラーメンに異物(髪の毛など)が入っていた
対応  :平身低頭して「申し訳ありません。お取り替えします」と言い、すぐに下げる。そして他のお客様を飛ばし てでも先に作りなおす。もし「もういい!」と言われたら「申し訳ありません。お代は結構です」と謝罪する。

クレーム:「~が変な臭いがする(腐っている)
対応  :基本的には上記のクレームと同様な対応をします。しかし、臭いは個人的な感覚であるためケースによ っては次のように言います。
「当店は食品の取り扱いには万全を期しております。当店の味がお好みに合わないようですのでお代は結構で す。本当に申し訳ありませんでした」

クレーム:「注文した品と違う
対応  :最初に書きましたように自分にどんなに自信があったとしても絶対に「お客様が間違えた」とは言っては いけません。先ず「申し訳ありません。聞き間違えたようです。すぐに作り直しますのでもう少々お待ち下さい」と 言います。この時、もし「それでいい」と言われたらそのまま出して「申し訳ありません。ありがとうございます」でい いのです。

クレーム:「注文したのにまだ来ない」または「自分よりあとから来た人が先に食べている
対応  :単に順番を間違えたのであれば厨房に確認して「すぐにお持ちします」と言い、言い訳は一切せず「申し 訳ありません」と謝罪します。しかし、注文を受けたにも関わらず伝票を書き忘れたときは慎重に対応しなければ なりません。お客様はすでに長い時間待ち続けているはずですので怒りを持っています。気を付けたいのは焦っ て「何を注文なさいましたか?」と尋ねることです。このような聞き方はお客様の怒り(火)に油を注ぐようなもので す。このような時は落ち着いてよく思い出すのです。どうしても思い出せない時は常連のお客様であればその方 が今までに注文した回数の多いもの、そうでない時は自分の店で一番注文の多いメニューを言うのです。例え ば、自分の店で味噌ラーメンが一番注文が多いのであれば「味噌ラーメンでしたよね」と尋ねます。この方法はイ チかバチかなのですが合っていればお客様も少しは納得しますし、違っていれば正しいメニューを告げます。ど ちらにしても焦って「何を注文なさいましたか?」と尋ねるよりはお客様の怒りを抑えることができます。

クレーム:スープをお客様の衣服に零した。
対応  :すぐに謝罪してきれいなタオルを持っていきます。具体的にはこの<きれいなタオル>を持っていくとい う行動しかありません。私はいつもすぐに取り出せる場所に新品のタオルを用意していました。トラブルを大きくし ないためには<素早い処置>が重要です。もし汚れがひどい時はトイレや目立たないところに移動していただき 濡れたタオルを渡すようにします。場合によっては、クリーニング代としてお詫びの気持ちを渡すことも必要でしょ う。こちらもやはりすぐ取り出せるように封筒などに入れ準備をしておきます。
 仮にクリーニング代を渡すとしても他の人がいる前で渡してはいけません。必ずお客様が1人の状態になった 時に渡します。
 しかし世の中にはいろいろな人がいますので、それでも納得せず損害賠償を求めてくる可能性がないとは限り ません。やはり備えは必要です。賠償責任保険に加入することも検討すべきです。


 以上が主だったクレームとその対応です。先にも書きましたが、これらは注意深く仕事をしていれば防げるもの がほとんどです。例えば「ラーメンに異物が入っていた」などというのはお客様のところへラーメンを持って行く間 ににどんぶりの中をよく確認するのです。そうすることによって100%とはいきませんがお客様からクレームを受 ける回数は減ります。また、ホールと厨房の連絡ミスもあります。よくあるのが数量の伝え方で「ひとつ」「ふたつ」 では忙しいときなど聞き間違えやすいので「ひとつ」「にこ」と聞き間違えることがないように事前に決めておきま す。このように工夫することがとても大切ですがそれでも起きるのがクレームです。そうした時にこれらの対応を 頭にたたき込みスムーズに処理ができるようにしておきましょう。
 しかし、対応を頭にたたき込んだとしても態度、表情がぞんざいであってはなんの意味もありません。最も大切 なことは誠実さです。誠心誠意、謝罪することです。このことをしっかりとできるならクレームが大きくなることはな いでしょう。お客様の中にはこの店がどういう対応をするのかを試す意味でクレームを言う人もいます。これらを 基本にそのお客様個人個人に合わせて対応をしてください。

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 クレームを言おうとしているお客様はその前に何かしらのシグナルを出しています。例えば顔をキョロキョロした り、一緒に来た人とヒソヒソと小声で話したりします。このような動きを見逃してはいけません。事前に察知してい るなら対応もスムーズにすることができます。クレームに限ったことではないのですがお客様には常に気を配って いなければいけません。

第7章  肝銘(肝に銘じていること)

≪≪クレームは受ける前に気づけ!≫≫

<終わりに> 
 以上で本講座も終了となります。私の目標は本講座を受講することによって実際にラーメン店をオープンできる ことでした。私は自分が経験者ですので文章がそのままビジュアルとして頭に浮かべることができます。しかし、 全くの未経験の人にこの書き方で具体的に映像が浮かぶのかいつも不安でした。そして悩みながらできるだけ 具体的に映像として想像できるようにと書いたつもりです。しかし想像しにくい所もあったと思います。もし分かり にくい箇所がありましたらお気軽に研究室の方にお便りを下さい。お待ちしています。
 本文中にも書きましたが、オープンすること自体は簡単にできるのです。開業のノウハウさえ知ることができた なら誰にでもできるのです。そうであるにも関わらずFCなどが高い加盟金などを課していることに納得できないも のを感じていました。開業するだけなら少ない資金でもできるんだということへの挑戦でもあるのです。逆説的に 言うならば、大切なのは開業した後の日々の努力であることを示したかったのです。どうかこのことを忘れないよ うにお願いいたします。
 最初の方にも書きましたが、飲食業は立地産業と言われています。ですからその立地条件が悪化した時は 我々の努力の限界を越えています。そういう時は未練を残さず撤退しましょう。口では簡単に言えますが、実際 に脱サラをし店を構えた人にとってはツライものがあります。それでも撤退しかないのです。無理して続けてせっ かく築いた財産(お金)を全て失うよりはましなのです。
 本講座は「手っ取り早く開業する」ことを主旨としてきましたが、常に最悪のことは考えて行動に移して下さい。
 「手っ取り早く」は「無鉄砲」とは違います。あくまで成功する確率は高くないといけないのです。また「無鉄砲」で 出来るほど脱サラは生やさしいものではありません。「緻密さ」と「勇気」と「覚悟」が出来てから行動に移すことを 切に願っています。
 それではあなたの成功をお祈りして本講座を終了致します。
 最後に本講座を受講して下さいましてありがとうございました。

 7章終わり。<あとがき>を追加しています。

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