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訪問していただきありがとうございます。このテキストは一昨年までpopcampusというサイトにて有料で配信していたものです。しかしpopcampus様が休止となり一年を過ぎたことを機に無料公開することとしました。以前購入してくださいました方々には深くお詫び申し上げます。
平成18年1月
 追記:平成22年2月に少々加筆・修正・校正をしております。 

<脱サラをする前に> *リンクフリー 全頁無断転載禁止 

ラーメン店を手っ取り早く開業する講座

第1章

◇◇◇ 自分の人生は自分で決める ◇◇◇

<はじめに>

 私は自分の脱サラ体験 記をテキストとして当サイトにおいて講座を開きました。「脱サラをする」ということ、「ラ ーメン店を開業する」ということの現実を伝えた かったからです。独立に関する本はたくさん出版されています。し かし、それらの本からは現実感が伝わってこなかったのです。
 例えばあるFCの広告にはモデル店において「席数20で来店客数が席数の20回転」と書いてありました。一般 の方にはピンと来ないかもしれませんが、「20回転」という数字は夫婦二人で営業するのには物理的にいって現 実的ではありません。先ず、それだけのお客様が来店するかどうかという保証もありません。どこかの企画でテ レビに取り上げられたならば可能でしょうが、それも当初のことです。通常それだけの来客数があることはほとん どないでしょう。そして夫婦二人で20回転をこなすには朝11時にオープンしてから食事も取らずに少なくとも10 時間ラーメンを作り続けなければならない数字なのです。1日の作業の中には調理をする以外にもやらなければ ならないことがたくさんあります。それらを一切やらずに10時間ラーメンを作り続けることになるのです。

 10席で20回転ならばなんとか可能でしょう。しかし20席で20回転は不可能です。もし、それを可能にするなら アルバイトなど新たな従業員を雇い入れなければなりません。そうなりますと当然人件費もかかりますし、その前 に求人広告など求人に対する費用も発生します。そのうえ求人広告を出したとしても、簡単にアルバイトが見つ かることでもありません。また、見つかったとしても休んだりすることもあります。その場合、その日の営業は出来 なくなります。仮に、人員が不足した状態で営業をしますと業務に支障をきたすのは必定です。このようにFCの 加盟店募集広告などには、私から見ると現実的でないと感じられることが多くありました。

 私が先の講座で最も感じて欲しかったことは脱サラは安定収入を失うということです。脱サラするということは生 活を不安定にすることです。その緊迫感を感じて欲しかったのです。そして世の中には緊迫感を感じても尚その プレッシャーを押しのけ挑戦しようとする人もいるはずです。私はそういった人たちに少しでも参考になればと本 講座を開講することにしました。人生は一度しかないのですし、あなたのその瞬間は二度と戻ってこないのです から自分で判断し行動を起こすことには大賛成です。


 私はFC(フランチャイズチェーン)に加盟してラーメン店を開業したのですが、一年後に感じたことはFCに加盟し なくとも開業することは充分可能であるということです。ただ単純にラーメンの作り方さえ修得することができたな ら、不要なお金を使うことなく開業できるはずだと思いました。私は殆どのFCが提供するとしている「経営のノウ ハウ」などない、というのが持論です。しかし「開業」の「ノウハウ」は間違いなくあります。私はラーメンに関する知 識が全くありませんでしたのでこの「開業のノウハウ」は役に立ったと思っています。それと同時に「開業のノウハ ウ」を修得することに対する「加盟金」や「ロイヤリティ」はあまりにも高いと感じていました。これら「加盟金」や「ロ イヤリティ」、もしくは「中間マージン」を払うことこそもったいないことはありません。

 先日、飲食業ではありませんが、ある大手FCの加盟店となっていた法人企業がFCから脱退したところ、加盟 店のこの行為に対してFC本部が制裁といえる行為をとり独占禁止法に問われる事件がありました。FC本部の 行為が独占禁止法に触れるかどうかは別にして加盟店がFCを脱退して独立したり新しくFC本部を作る例は多 いのです。このことは「開業のノウハウ」を会得したならFCに加盟しているメリットはないことを示しています。ラー メン業界のFCについても同様です。

 一般的に、「FCに加盟して開業する」のは「個人で開業する」よりもFC本部に支払う金額分だけ高額になります が、例外もあります。それは、個人で飲食店を開業した人の中にも「業者にいいように振り回されて」必要以上に 開業にお金をかけている人もいました。不思議なことですが中には開業に要した費用の高さを自慢にしている人 さえいました。それは自己満足に過ぎません。開業資金は少なければ少ないほど理想的であることは間違いあり ません。このケースのようなお金が有り余っている人を除くなら、殆どの人はラーメン店を開業したくともその資金 の高さに二の足を踏んでいるのが現状ではないでしょうか。


 先程も書きましたように、これから開業しようと考えている人には「開業のノウハウ」が必要です。そしてその「ノ ウハウ」を知ることさえできたなら、FCに加盟するより少ない資金で、またロイヤリティを支払う必要もなく開業す ることができる、と私は思っています。しかし、現実感があり且つ具体的に書かれた書籍がないのも事実です。書 店に並んでいる「独立に関する本」を読んでみてもだいたいにおいて業種が広がりすぎています。これでは上辺 だけの本当に上面だけの内容で全く参考になりません。また、飲食業者を読者の対象とした本ではこれから始め ようと考えている人には専門的になりすぎています。 独立本の中には損益分岐点の求め方など財務分析につ いて書いてある本もあります。これらのことが重要でないとは言いませんが、実際に開業する際に必要なことは そういった机上のことではありません。開業の際必要なことは現場でのノウハウです。財務分析などは空論でし かありません。現場での積み重ねがあって初めて分析ができます。現場こそが最も大切です。
 そこで本講座は資金の少ない素人が年月をかけることなくラーメン専門店を開業できることを主旨としました。 要するに「手っ取り早く開業」したい人のためのものです。
 今、<専門店>と書きました。<専門店>とはラーメンだけを提供するという意味です。ラーメン店としながらチ ャーハンやカレーなど中華料理に類するものや丼ものをメニューに加えている店もあります。しかし、これらを加 える場合どうしても「手っ取り早く」とはいきません。ある程度技術を身につけなければ無理です。それでも調理学 校に行くなり、教えてくれる専門家が身近にいるなら一週間もあれば身につきます。実際そういった業種のFCも ラーメン専門店に比べると数は少ないですがあります。但し、飲食業として考えたとき中華料理などをメニューに 加えるやり方が成功する確率が高いかというとそうでもありません。そこが飲食業の面白いところでもあります。
 話が逸れましたが、本講座はラーメン専門店を無駄な費用や時間をかけることなく開業しようというものです。 よくマスコミや雑誌などに出てくる店主は「自分の味」を作るのに「全国のラーメン店を食べ歩いた」とか「有名店 で何年も修行した」などと言っています。もしかしたら、そのような店主にあなたはあ気後れするかもしれません。 しかし、全く気に留める必要はありません。あなたも開業後に同じように言えばよいのです。それによって<ハク >がつくことは間違いないでしょう。

<収支試算>

 ところで本講座を受講すればラーメン店を開業することはできますが、成功するかどうかは別問題だということ を認識していて下さい。仮に開業して1年も経たないうちに廃業することになったら何の意味もありません。やはり 営業している年数が大事です。もし3年以内に廃業することになった場合とても悲惨な現実が待っています。あと に述べますが「手っ取り早く」であるだけにやはり借金はしなければなりません。借金を抱えたまま廃業するという ことは廃業後も返済だけはしなければならないことです。最悪の場合、自己破産することもあるのです。私もそう いう方を身近に見てきました。それだけにこの覚悟を持っているかどうかが最低条件です。せっかく脱サラしても どれくらいの期間営業できるか、そしてどれくらいの収入があるかが重要です。


 ここで収入について試算してみましょう。

本講座で対象としている店舗面積は約10坪です。これを基準に考えていきます。

家賃    10万円
水道光熱費  8万円
雑費その他  5万円

席数    12席
客数    60人

客単価 700円(大手ファミレスの客単価でも700~800円)

1日の売上げ       700円×60人=42,000円  
1ヶ月25日営業    42,000円×25日=105万円

材料費       105万×0.35(原価率)≒36万円

売上げから経費と材料費をひくと
         105万-(10万+8万+5万+36万)  
       
1ヶ月の利益   =46万円
      
 この計算で一番問題になるのが客数です。試算では60人としましたが、一般的な飲食店の場合は客席の5回 転が標準となりますので12席×5回転で60人としました。もちろん、客数60人が必ず決まっているわけではあ りません。当然ながらそれ以下ですと収入は減りますし、それ以上ですと収入は増えます。
 この時<以下>といった場合、0人という下限もありますが、<以上>と言った場合も上限があります。客席が 12席ですからどんなに増えても10回転、120人が限界です。夫婦2人で営業するのですから営業時間が関係 してきます。個人が脱サラをして1店舗を運営していく時、この数字が限界です。その先をどうするかはあなたが 経験を積みながら勉強するしかありません。私の講座「脱サラして…」も参考にしながら考えて下さい。 もう一つ 忘れてはいけないことがあります。飲食業は立地条件によって8割方は売上げが決まるという事実です。このよう に言いますと「な~んだ。立地さえよければ成功は決まったものだ」と考えるかもしれません。しかし、この立地は あくまで基礎条件でしかありません。残りの2割の要因をいかに勉強して店主として自分を高めていくかにかかっ ているのは言うまでもありません。要するにどれだけ向上心があり、働き者であるかです。 現実は失敗する人 の方が圧倒的に多いのです。それは余りにも安易に考えて決行しているからにほかなりません。私の周りでも同 時期に開業した人の半分が3年で廃業しています。5年後には9割が廃業しています。それほど厳しいのが実体 です。

 今世間ではITブームといわれています。新しく始める商売としてはパソコン塾などIT関連の業種が数多く開業さ れています。これらIT関連の業界はまだまだ新興業種です。それに引き替えラーメン業界はすでに成熟業種とな っています。その業界で生き抜くには毎日の努力の積み重ねしかありません。IT業界は始まったばかりですから 今なら少しくらい内容が雑であったり拙劣であってもある程度伸びることができます。しかし成熟しているラーメン 業界ではそうはいきません。ちょとでも雑にしたり手を抜いたりすると命取りになります。それだけ高度な経営感 覚が求められるということです。今は成長産業といわれているIT関連業界でもいずれ同じ環境になります。おそら く2~3年後に本当の実力が試されるでしょう。

 IT業界に比べ特別な知識を必要としないのがラーメン業界です。そしてすでに成熟産業であるラーメン業界に おいて開業することはある意味で簡単です。しかし何度も言いますが継続することが難しいのです。そして継続す ることができたとしても10年を過ぎた頃に必ず転換期を迎えます。その時にどう進むのかをいつも念頭に入れて 営業を行って下さい。いさぎよく手をひくことも一つの選択肢です。どうかそのことを忘れないで下さい。


 それではこれより本題に入っていきます。本講座は「手っ取り早く」に主眼をおいていますので、ラーメン店経営 の第一歩です。そしてもっともっと奥深く追求したいという方は開業してから勉強しても遅くないと思います。それ どころか、その方が本当の勉強になります。最後に本講座は基本的に夫婦二人で開業することを前提としていま す。私の経験上それ以外の人員構成では成功はあり得ないと考えているからです。それではよろしくお願いしま す。

 尚、できるだけ分かりやすく具体的に参考になるようにと書いたため一部分「脱サラしてラーメン店を開きたい 人に役に立つ講座」(以下体験記)と重複することをお許し下さい。

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 一般的に飲食業は他の業種に比べて失敗する確率が少ないと言われています。その飲食業の中でラーメン店 は「少資金で開業できる」ものの一つです。しかし全くの未経験の人は具体的に何をどのように準備をすればよ いか分からないものです。本講座はそれを具体的にお伝えしようというものです。脱サラしてラーメン店を開くに は資金はもちろん必要ですが、その前に重要視しなければならないのは“やる気”という気持ちです。

第1章  肝銘(肝に銘じていること)

≪≪ 強い意志と覚悟が大前提だ!≫≫

脱サラをする前に*リンクフリー 全頁無断転載禁止 

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