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脱サラをしてラーメン店を始めたい人に役に立つ講座

第8回

 求人は理想どおりにはいきません。

<求人広告について>

 求人広告について述べます。従業員を募集するのには 「店頭に貼り紙をする」 「求人広告を出す」 「知人のツ テを頼る」 などという方法があります。この中で誰もが思いつき一番手軽な方法が 「店頭に貼り紙をする」 です。 しかし、手軽であるがゆえに私は効果に疑問を持っていました。私は店を始めるまで、街中で店頭などに貼り出 されている 「求人貼り紙」 をよく見かけていましたが、「まず無理だろう」 と考えていました。ところが実際は、想 像していたより成功する確率が高いものでした。私の経験では三~六ヶ月に一回はあるものなのです。
 次に 「求人広告を出す」 ですが、求人広告を出すとなると少なくとも三万五千円前後かかります。一回出すだ けでそれだけの経費がかかりますので一回出したあと六ヶ月は求人広告は控えていました。
 求人広告は、掲載後一週間が勝負でそれを過ぎたなら 「ほとんどあきらめたほうがよい」 という類の広告で す。ですから一週間を過ぎたならあきらめているのですが、五ヶ月を過ぎた頃、不思議なことに店頭の 「求人貼り 紙」 を見て 「応募する人」 が現れるのです。こういうときは本当に心の底からうれしさがこみ上げてきます。求人 広告費三万五千円が露となって消えていったあとだけにうれしさは倍増されます。この 「求人広告」 と 「求人貼り 紙」 の関連についてはあとで触れますが、これはもう運としかいいようがありません。

 私の前職はタクシー乗務員でしたが、その時も運としかいえないことがありました。
 その日は全然お客様を乗せることが出来ず 「今日は駄目だ」 とあきらめていた深夜三時頃、人通りの全くない ところでビルの陰から男性らしき人が現れ手を挙げました。しかもそのお客様がロング(遠距離)の乗客ということ がありました。このときも本当に運としかいいようがありません。

 話を戻しまして…。
 三番目の 「知人のツテを頼る」 方法で探したこともありますが、これはほとんど効果はありませんでした。知人 にしてみますと 「変な人は紹介できない」 というプレッシャーを感じるようでした。
 従業員を募集する場合、「できればあと一人欲しいなぁ」 と余裕のある時は店頭に貼り紙をすることで足りるの ですが、「どうしても必ず緊急にあと一人欲しい」 という場合はお金がかかりますが求人広告を出すことになりま す。
 しかし、広告を出したからといって必ず応募があるというわけではありません。一回の配布数量は各社違いま すが、私が利用していた広告会社は一地域にだいたい十万~十二万部配布していました。一地域といっても各 社により広さは異なり、その密度も様々です。店側としては自分の店を中心にしてそれほど 「広範囲でない」 方 が理想的です。広範囲ですと自店から遠い地域にも配布されてしまい意味がないからです。あまりに遠い住所の 方は店の住所を見て応募を躊躇します。そうした理由から、私は広範囲でなく配布のきめの細かい広告会社を 利用していました。
 せっかく広告を出しても全く応募がないということもあります。全く応募がなくても三万五千円は経費としてかか るのです。三万五千円という金額は一番小さいサイズであり、もう少し効果があるようにとその上のサイズにする と約四万四千円かかります。初めて広告を出した時、その金額の高さに驚きました。しかし、それ位の金額が相 場のようでした。
 ある時、「どうしても人員が必要な状況」 になり、三ヶ月連続で募集広告を出したことがありました。しかし、実質 的な応募は一回目は0人、二回目・三回目各一人というありさまでした。結局その時は採用者0人で、十万五千 円をドブに捨てたようなものです。
 “実質的な応募は…” と書きましたが、求人広告を見て電話をかけてくる方は各回とも数名はいるのです。「い る」 ことはいるのですが、“冷やかし” かもしくは “働く気持ちは無いのに電話だけしてくる” というケースがよくあ るのです。こういう方たちは、面接の日時を決めようとすると 「考えてみます」 と言って必ず電話を切ってしまいま す。こういったケースには 「広告会社のサクラ」 もいるのではないか、と私は想像しているのですが真偽は分かり ません。
 このように求人広告を出しても応募してこないことが多いのに比べると、店頭の貼り紙はタダですからそれを見 て応募してくれる人は私にとっては天使に思えました。ですから私は 「天使を不採用にした」 ことは一度もありま せん。けれども、そのようにして採用した方に後で聞いてみますと、「数ヶ月前に求人広告を見ていたから」 応募 したという例があり求人広告の効果が後押ししてくれたのかな、と思えなくもありません。冒頭で、「求人広告と求 人貼り紙の関連」 と書きましたが、このことを指しています。しかし、そうした例はごく稀でした。それはともかく、 従業員を募集するということは運にまかせる要素が強い、というのが実感です。
 ある時、募集広告を出した数日後に営業マンが訪ねてきました。広告を出した後によくあることなのですが、私 が利用した広告会社以外の会社からも 「広告の成果を問う」 電話や訪問があります。そして成果を聞きながら 自社の広告を勧めるのです。時には応募の数より成果を問う電話の方が多いことがあるほどです。
 その営業マンの方も広告会社の人かと思いましたが、どうも違うようです。「従業員を募集する」 のではなく、 「従業員を紹介する」 と言うのです。営業マンの話によりますと、その会社には 「東京で働きたい」 という関東近 県の求職者のリストがあり、しかも若い方が数多くいるとのことでした。それまで、求人広告を出してもあまり成果 が得られないことが多かったので是非お願いしよう、と思いました。
 そのシステムは、会社が持っているリストを私が買い、そのリストに記載されている方に私が直接連絡を取り面 接を行う、というものでした。そして面接後の採用、不採用は私の判断のみで決定でき、さらにそのリストで足りな ければ、また次のリストを提供するというシステムでした。そうしたことを全部合わせた合計料金は八万円でし た。
 確かに、システム自体は私にとって願ったり適ったりの形式ですが、やはり八万円は大金です。少しどころか大 いに不安はありましたが、従業員を募集するのに苦労していましたので、悩んだ末に 「お願いしようか」 という気 持ちになっていきました。
 「契約する」 ほうに気持ちが傾いていた私ですが、少しばかり私を躊躇させたのは 「料金の支払い」 について でした。当時はどこの店・会社でも従業員を募集するのに苦労していました(バブルの頃です)ので、「早く契約し ないとチャンスを逃す」 とプッレッシャーをかけられました。そして、「契約するには明日中にお金を振り込んで欲 しい」 と言われたのです。それが出来ないなら 「今回の話はなかったことにする」 と追い込まれました。
 完全に相手のペースにはまっていました。人生経験不足です。結局契約することにし、翌日お金を振り込みまし た。
 一週間ほど過ぎてからリストが送られてきました。中を見ますと、リストに載っていた人数は十名ほどで氏名と 電話番号が記されていました。早速、私は連絡をしてみました。しかし、相手の方々が 「あまり積極的ではない」 のです。というよりは、私の話を聞いているだけ、といった感じです。中には連絡さえ取れない人もいました。私の ショックがおわかりでしょう。なにしろ八万円ですから…。
 さすがに私は憤りを感じ、すぐに会社に電話をしました。私は、担当した営業マンに直接苦情を言うつもりでし た。しかし、何度電話をしても 「その営業マンは出かけて連絡が取れない」 と電話に出た人に言われる始末で す。私のショックがおわかりでしょう。なにしろ八万円ですから…。私は、次の休みの日に直接会社に行くことにし ました。
 契約書に記載されている住所を頼りに会社に行きますと、そこは小さなビルの一室にありました。しかもドアに 小さく表札がかかっているだけです。私が呼び鈴を押しますと若い男性が出てきました。私はその男性に 「これ までの顛末」 を身振り手振りを加え一生懸命に話しました。八万円を取り返そうと必死です。すると、中から五十 才位の男性が 「中に入るように」 と言ってきました。
 室内には、他に若い社員らしき男性が二人いました。私は五十才くらいの男性に促され来客用と思われるソフ ァに座りました。私は椅子に座るやすぐに先ほどの苦情の続きを訴えました。私は自分でも興奮しているのがわ かりましたが、それでも一気にまくし立てました。しかし、いくら苦情を訴えてものらりくらりとかわされてしまいま す。一応、私の話を聞いている素振りはしますが、馬耳東風といった表情でした。悲しいことに、相手の方が数段 上です。私は、「担当者ともう一度だけ連絡を取れるようにお願いするの」 が精一杯でした。
 数日後、担当者から連絡がありましたが、結局は同じやりとりの繰り返しでなにも解決はしませんでした。その 時、私はもうあきらめの心境でした。とても高い人生勉強代と納得するしかなかったのです…。

 求人広告を出すようになってから気付いたことがあります。募集を出す時期によって応募の数が違うのです。当 然といえば当然ですが、やはり一月、四月、六月、九月が応募の確率が高いようです。最初の頃はそんなことも 考えてもいませんでした。広告会社の人は常に広告を埋めなければなりませんのでそのようなことは教えてくれ ません。これも経験から学ぶしかなかったのです。そして、経験には少なからず勉強代が必要となってしまいま す。

  『 日曜日に働ける人を捜すのは難しい!!』

<助かった>

 「経費を抑えるいい方法はないか」 と考えていた頃です。「電気代を安くすることができる」 とセールスマンが来 ました。当店の電気代はクーラーなどを使うと一ヶ月に七万円から八万円かかります。もし本当に電気代が安くな れば、これは嬉しい話です。
 その会社で販売している装置を取り付けると電気代が半分になる、ということでした。少し専門的に言います と、飲食店などの場合、普通に蛍光灯などに使われている電力とクーラーや冷蔵庫など大型の電気製品に使わ れている電力は種別が異なり別の基本料金となっています。その大型用の種別の基本料金のほうが普通の種 別よりが安いのですが、その装置を取り付けた場合、「普通の種別の電気も基本料金の安い種別にすることが できる」 ということでした。つまりは、「その装置を取り付けると電気代が安くなる」 ということです。
 話を聞いていて、なんとなく “危険な臭い” がしましたので 「法律的に問題がないか」 を尋ねました。すると、返 事がどうも曖昧でした。本来ならそこで 「断ればよかった」 のですが、料金が安いという魅力に負けてしまいつい 購入してしまいました。
 支払方法は信販会社に毎月一定額を納める契約です。これで電気料金が半分になる、金額にして三万円強で す。これだけ安くなると大分助かる、と喜びました。
 契約したのは午前中だったのですが、午後になり次第に 「違法ではないのか」 という思いが強くなってきまし た。人間は一度不安になると不安が大きくなる生き物です。私は夕方になるに従って 「違法という思い」 が強くな っていきました。
 求人募集の時に失敗した経験以降、私は “迷ったら断る” を信条にしていました。そこで、断りの電話を入れる ことにしました。しかし、契約書に印鑑も押してしまいましたし、求人募集の時のようにのらりくらりとかわされるの ではないかと不安があります。今回の信販会社との契約は総額約四十万円でした。求人募集の時のように諦め るには大きすぎます。
 不安な心持で会社に電話をしますと、運良く当店に来た営業マンの人が出てきました。しかも、私が謝罪をしな がら 「断りの申し出」 をすると、なんと! 何の咎めもなく問題もなく了承してくれたのです。本当にホッとしました。 それから三ヶ月後ぐらいの夕刊に、電力会社から「違法と指摘され」訴えられている記事が出ました。あの時、断 っていなければその装置は使用できずそれでも信販会社に支払いだけは続けなければならない事態に陥ってい るところでした。危なかったです。これは珍しく私の判断が正しかった数少ない例です。私、後悔ばかりしています から…。

<採用面接>

 応募してくれるということは、私にとってとても嬉しいことです。最初の頃は面接といっても、勤務時間、曜日を決 めるという簡単なものでした。その 「人物を見る」 ということもありませんでした。しかし、働いてもらうようになると いろんな人がいるものだと感じるようになります。私にしてみますと、真面目で協調性があり、愛想が良くて…など など欲を言えばキリがありません。しかし、そのような高望みをしていますと一人も採用できなくなってしまいま す。
 <求人広告> でも述べましたが、基本的に「応募が少ない」のですから 「どうしても駄目だ」 と思う人だけを断 るようにしてきました。その場合も、応募してきた方はもしかしたらお客様になる可能性もあるわけで、できるだけ 失礼のないように断ってきました。それと、私自身も店を始める前は会社員でしたので何回か面接を受ける側の 経験があり、落とされたことがあります。
 その時思ったのは、「面接官は私の良さをわかっていないんだ」 ということです。そういうことを考え合わせます と、「自分も偉そうなことはいえない」 という思いが心の片隅にいつも引っかかっていました。只、自分が面接する 側に回って感じたのですが、応募するということは自分をアピールしなければ意味がないということです。「働きた い」 ということを相手に訴えなければいけないのにそれをしない人がたまに見受けられました。かくいう私も面接 を受ける側にいた時はそんなことは余り考えていなかったのですが…。

 何度も書きますが、基本的に応募の人数は少ないのです。しかし、ごく稀に一人の募集に対して三~四人の応 募があるときがあります。このときに悩みます。私としては、やはりいい人を採用したいのですが、たかだか十五 分前後の面接で全てわかるはずありません。又、こちらがいい印象を持っても相手が断ってくることもあるので す。勤務時間の長さの問題です。
 例えば、一人のパートさんに週のうち全部をお願いすると、そのパートさんが休んだ時にその埋め合わせをす るのにとても苦労をしていました。そこで、勤務日をできるだけ複数の人数に分けてスケジュールを組んでいまし た。このようにしていますと、仮に一人が休んでも他の人と勤務時間を交替したり、延長したりして埋め合わせる ことができます。
 しかし、そうしたスケジュールはパートさんにとっては勤務時間が少なくなり、収入が減ることになります。ですか ら、「ある程度稼ごう」と考えている方は断ってくることになります。こちらがいい印象を持っている人に限ってそう いうケースが多いのです。
 こうしたときに、断ってくる理由として一番多いのが 「主人に反対されて」 というものです。普段はご主人の言う ことなんか聞いていない場合でもこの言葉は便利です。
 面接時には勤務時間や仕事内容について説明します。辞退をするにしても面接の後にすぐ断ってくる場合は次 の人を繰り上げればいいので問題がないのですが、困るのは採用を決めて一日、二日働いた後に断ってくるケ ースです。
 この場合に多いのが、自分が何処かに食べに行って見る店の仕事と実際に自分が働いて感じる仕事とのギャ ップが理由です。自分がお客様の立場で見ていたときに簡単そうに見えた仕事が実際に働いてみると難しい、と いうギャップです。私は人を見る目がないのでこういうケースが結構ありました。なぜ困るか、というと求人広告を 出して四日後位に採用を決定するのですが、実際に働きに来るのはどうしても翌週ということになります。そうし ますと、二日程働いたあとに断られると次の人を 「簡単に繰り上げる」 というわけにはいかないのです。求人広 告は毎週発行されていますので、不採用となった方は次の週の求人広告を見て決めている人がほとんどなので す。このようにして、せっかく三~四人の応募があっても結局一人も採用できなかった、ということもありました。こういうときはショックで立ち上がれません。

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 ある程度の企業規模ですと従業員の人数が揃っています。しかし、個人営業の店ですと必要とする人数はわず かで済みます。そうした状況でたった一人が退職しても店を営業することに多大な支障を来します。この求人とい う苦悩は個人営業であるからこそいつもついて回るものなのです。

第8回  肝銘

≪ 求人の難しさを覚悟しなければならない。≫

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